2379 ディップ株式会社 東証プライム・サービス業

コロナ禍でも配当を守った会社。
累進配当 13 年の信頼 を、娘に残したい。

最終スコア
83.6
/ 100 点
★ 購入 ◎ 検討 △ 待機
利回り 4.17% は購入ゾーン下限を上回る
🟡 構造リスクあり・テーゼ維持可
分析日 2026.04.26
著者 パパ (@honotane)
読了 約 15 分

ディップを調べようと思ったのは、利回りが良かったからじゃない。コロナ禍のいちばんきつい年に、EPS が 11 円しかなかったのに、56 円の配当を守り抜いた会社だったから。それだけで、深掘りする理由になった。

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会社概要

Company Profile
著者バイトルのCMは知ってたけど、「求人サイトでしょ」で止まってた。
決算書を開いたら、コボットという全然違うビジネスが育ちつつあることがわかった。
求人広告の利益をSaaSに再投資する構造——二段ロケットって言葉がぴったりだと思った。
地味に見えて、なかなか面白い会社かもしれないと感じたのが最初の印象。
何をしている会社か
アルバイト・パート求人メディア「バイトル」「はたらこねっと」を運営する人材メディア最大手。求職者は無料で使い、企業が掲載料を払うビジネスモデル。

2020年代からは業務自動化サービス「コボット」でDX事業も展開。コボットとは「毎日繰り返す事務作業(データ入力・書類仕分け・集計など)をAIが自動でこなしてくれるソフト」のこと。導入した会社は乗り換えにくく、毎月の利用料が安定して入る。求人広告の利益を、この高利益率のソフト事業に再投資する二段ロケット構造。
会社の基本情報
証券コード 2379(東証プライム)
業種 サービス業(人材)
設立 1997 年
従業員数 約 2,400 名
主力サービス バイトル・はたらこねっと
成長事業 コボット(DX・RPA)
採用企業・プラットフォーム・求職者の関係を示すメディア事業の図解イラスト
2 つの収益柱
📢 メディア事業 求人広告の掲載料収入。景気連動型だが圧倒的ブランド力と認知度が参入障壁。営業利益率は 15〜20% 程度。
🤖 DX 事業(コボット) 業務自動化 SaaS の月額課金。導入企業のロック効果が高く、営業利益率は約 50% と高水準。現在は先行投資フェーズで規模拡大中。
ディップの二段ロケット型ビジネスモデル図解。Stage1メディア事業の利益をStage2DX事業(コボット)へ再投資する構造
🔍 構造リスク診断 — ガチホ前に確認すべき4つの問い
収益の持続性 🟡 DX移行期・5四半期連続コンセンサス未達
競合・代替圧力 🟡 Indeed台頭・バイトルのシェア推移を要確認
FCF・配当安全性 🟢 コロナ禍も配当維持・現時点で配当原資を確保
経営の資本配分 🟢 増配継続・有報開示の姿勢は誠実
🟢 全グリーン:下落時こそ買い増しの好機。確信を持ってガチホ。 🟡 イエロー混在:保有継続。FCFと配当方針を四半期ごとに再確認する。 🔴 レッド出現:減配・FCFマイナスなど。投資テーゼの根拠を一から見直す。
01

スコアサマリー

Score Summary
著者71 点か…と最初は少し迷った。
でも有報を開いてみたら、スコアに映らないものがあった。
「誠実さ」は点数にならないけど、長く持ち続けるには一番大事なものだと思う。
定性を 6 割に重くしたのは、こういう銘柄に出会うためだったと、後から気づいた。
定量
71
財務諸表から算出した、財務諸表ベースのスコア。
利回り 82
財務健全性 78
成長性 58
バリュエーション 66
財務数値は確かだが、成長性は中計フェーズ2で変化が見込まれる。
定性
92
有価証券報告書を読み込んで分析した、企業の本質を採点したオリジナルスコア。
事業の質 94
経営の誠実さ 95
配当方針 96
リスク開示 83
有報の誠実さが際立つ。リスク開示の踏み込み方が他社より具体的。
総合
83.6
定量スコアを 40%・定性スコアを 60% で加重平均した、購入判断用の最終スコア。
定量スコア × 0.4 = 28.4
定性スコア × 0.6 = 55.2
合計 83.6
数字で買うのではなく、"数字 × 物語" で買う。定性を 6 割重視するのが、ほのたね。流。
配当ポリシー
前期配当額を下限とする累進配当
原則として、過去最高配当を削らない。
耐久実績
コロナ禍でも配当維持
2021/2 期 配当性向 505% それでも減配せず
連続増配
13
年 2013/2 期から、ほぼ毎期増配。
02

基本データ

Key Metrics
著者2026 年 3 月に最初の 1 株を買って、4 月の下落でもう 1 株を追加した。
感情じゃなくて、ルールで動けた。それが素直にうれしかった。
利回りが基準を超えて、財務が崩れていなければ買い増す——ただそれだけ。
決めたことを決めた通りにやれた日の記録は、妙に印象に残る。
項目 補足
年間配当 95 円 2026/2 期 会社予想
配当利回り 4.17 % 株価 2,279 円換算
連続増配 約 13 年 2013/2 期〜
配当性向 50% 以上 目標水準
総還元性向 65% 目安 自己株含む
自己資本比率 約 70 % 2025/2 期末
取得単価(平均) 2,006 円 2026/3〜4 購入
保有株数 10 株 ジュニア NISA 口座
取得ベース利回り 4.74 % 95 ÷ 2,006
📈 株価チャート(2379 ディップ)
データ出典: 株探(kabutan.jp)/ 終値
03

業績の推移

Financial Performance, 5y
著者2021 年の落ち込みを最初に見たとき、「あっ…」てなった。
でも翌年からの回復を見て、考えが変わった。リバウンドじゃなくて、成長してる。
2026 年は意図的な減益計画だけど、これを「攻めてる」と読めるかどうかで、投資家としての見方が試される気がした。
売上高 5年 CAGR +14.8% 売上高 営業利益
0 150 300 450 600 億円 2021/2 325億 2022/2 395億 2023/2 494億 2024/2 538億 2025/2 564億
📌 5年間の軌跡:2021年(コロナ禍)→ 売上325億・利益74億・EPS 11円に急落。それでも配当56円を維持。2022年以降は急回復し、2025年は売上564億円・利益134億円(過去最高)・EPS 168円と大きく成長。2026年は AI 投資・人件費増で一時的な減益計画(先行投資フェーズ)だが、累進配当方針は維持を明言している。
売上 5年CAGR
+14.8%
325億→564億(4年)
2025年 最高益
134億
営業利益 / 利益率23.8%
コロナ禍でも
配当維持
EPS 11円でも 56円を守った
04

配当の歴史

Dividend Track Record, 10y
著者EPS 11 円の年に 56 円を払った。最初、計算ミスかと思った。
でも「前期配当額を下限とする」と有報に書いた以上、守った。
お金がギリギリでも約束を守る——信頼って、そういう積み重ねから生まれると思ってる。
数字よりこの事実に、一番引っかかった。
コインと植物が育つ瓶を親子で見つめるイラスト。配当が積み重なるイメージ
連続増配年数
13
年継続(2013/2 〜)
コロナ禍の実績
56 円
2021/2 期 維持
配当性向 505% でも減配せず
10年増配率
+375%
20円 → 95円へ(2017→2026)
コロナ禍でも配当維持 ✓ 年間配当(円) 配当性向(右欄): 2021年は 505%、近年 51〜97%
0 25 50 75 100 20 2017 30 2018 45 2019 55 2020 56円 2021 コロナ禍の配当性向 505% 61円 性向97% 2022 72円 性向51% 2023 88円 性向54% 2024 95円 性向56% 2025 95予 2026
年間配当 配当性向 備考
2021/256 円505 %⚠ コロナ禍でも維持(EPS 11円)
2022/261 円97%業績回復途上でも増配
2023/272 円51%
2024/288 円54%
2025/295 円56%過去最高益・過去最高配当
2026/2 95 円以上累進配当方針。先行投資でも維持

※ 2017〜2020年は 20→30→45→55 円と連続増配。グラフ参照。

ここまで 配当・業績データ / ここから 財務の安全性・事業の質
05

配当を支える「お金の流れ」

Free Cash Flow(FCF), 5y
著者利回りだけ見ると飛びつきたくなるけど、先にこのグラフを見た。
配当って「稼いで払ってるのか」「借りて払ってるのか」で意味が全然違う。
コロナ禍の 2021 年でも FCF は +21.9 億。本業(営業CF)59 億がちゃんと配当を支えていた。
2024 年は投資増で 54 億に落ちたが許容範囲。2025 年は 110 億と過去最高。
5期連続で「稼いで払っている」を確認してから、買いを決めた。
FCF(フリーキャッシュフロー)とは?
営業CF(本業の稼ぎ)+ 投資CF(設備・システム投資等の支出)の合計。
会社が配当・借金返済・新事業投資に自由に使えるお金の量を表す。
FCF がマイナスでも、本業(営業CF)が黒字なら配当支払い能力とは別問題。
営業CF 5期連続 黒字 ✓ 本業で稼いだお金(営業CF) 自由に使えるお金(FCF)
0 50 100 150 200 億円 2021/2 59.1億 2022/2 104.8億 2023/2 132.0億 2024/2 95.3億 2025/2 164.5億 21.9億 66.8億 95.7億 54.0億 110.1億
📌 5期連続で営業CF・FCF ともに黒字。コロナ禍の 2021 年度でも FCF は +21.9億円と黒字を維持。2024年度は大型投資の影響でFCF 54.0億円に低下したが、配当支払い(約 14 億円)は十分に賄える水準。2025年度は過去最高の 110.1億円。「稼いで払っている」を確認してから、買いを決めた。
※ FCF = 営業CF + 投資CF。配当支払い額は 95円 × 約 1,500万株 ≈ 14 億円と推定。
06

事業の強み

Business Strengths
著者正直に言う。「バイトルはいつかAIに食われる」と思ってる。
でも、だからこそコボットが面白い。
営業利益率 50% のSaaSが軌道に乗ったとき、求人広告は「踏み台でよかった」になる。
そういう二段階の成長ストーリーを持ってる会社は、長期で持ちやすい。
📢
バイトルブランドの市場支配力
求人広告市場でのトップブランド。パート・アルバイト領域で認知度が高く、広告主・求職者双方のネットワーク効果が競合参入を阻む。
シェア最大級
🤖
コボット(業務自動化ソフト)の利益率 約 50%
データ入力・書類仕分け・集計などの繰り返し作業をAIが代行するソフト(月額課金)。一度使い始めると他システムに切り替えにくく、解約率が低い。求人広告の利益を、この安定収益型ビジネスに回す設計。
OPM ≒ 50 %
🧠
AI シフトへの先行投資
求人領域に生成 AI を組み込み、求職者・求人企業双方の体験を再設計。短期は減益要因だが、5 年スパンの堀になり得る投資。
中計フェーズ 2
📈
累進配当の設計と実績
「前期配当額を下限とする」と明文化済み。中計でも 配当性向 50% 以上 / 総還元 65% を掲げ、株主還元を経営指標に組み込んでいる。
13 期 連続 増配
07

リスク警告

Caveats
著者離職率 19.9%、目標の 2 倍。これは本当に心配してる。
でも「隠さず書いている」という事実は、素直に評価してる。
見たくない数字を見えるところに置ける会社は、信じてもいいと思う。
次の有報で改善が見えなかったら、さすがに向き合い直す。ガチホといっても、目を閉じてるわけじゃない。
⚠ この銘柄を持つ上で、目をつぶってはいけない 3 点
RISK / 01
(構造)
求人広告モデルへのAI代替リスク
求人検索・マッチングが LLM・エージェントに置き換わる可能性。"求人ポータルに広告を出す" という構造そのものが揺らぐ未来は、想定しておく必要がある。
RISK / 02
(人的資本)
離職率 19.9%
(目標 10%・悪化傾向)
中期経営計画で目標 10% を掲げる中、足元は 19.9%。採用・教育コストの増加や、ナレッジ流出による生産性低下のリスク。
RISK / 03
(業績)
2026 年 2 月期は
意図的減益計画(先行投資フェーズ)
AI 関連投資・人件費増により、短期 EPS は一時的に低下する見通し。配当維持の前提だが、減配圧力に転じないかは要監視。
それでも私がガチホする理由
リスクを知った上で、なお持つ。
AI代替・離職率・一時減益。どれも現実のリスクで、目をつぶるつもりはない。それでも持ち続けるのは、EPS 11 円の年に 56 円を守り抜いた 会社だから。約束を守るために財務を削れる経営陣を、20 年信じてみる。娘が受け取る配当は、そういう積み重ねの先にある。
ここまで 定量・リスク分析 / ここから 有報を読んで初めてわかること
08

有報精読で見つけたこと

Annual Report Insights
著者IR資料や決算短信は、会社が見せたいものしか見えない。
有報には、書かざるを得ないことが書いてある。
この 4 つを読んで、ディップを信じることにした。
情報は誰でも取れる。「どこを見て、何を感じたか」が、10 年後の差になると思ってる。
📋 配当方針 中計・有報より
「前期配当額を下限とする」が有報に明文化されている
多くの会社は「安定配当を目指す」という曖昧な一文で済ませる。ディップは中期経営計画と有報に「前期配当額を下限とする累進配当」と明記している。慣行ではなく、経営陣が株主へ正式にコミットした約束の言葉だ。
→ コロナ禍の配当性向 505% は感情的な判断ではなく、「明文化した方針通りに動いた結果」。この一点だけで信頼度が大きく上がる。
👥 人的資本 有報 人材育成より
都合の悪い数字(離職率 19.9%)を自ら開示している
多くの会社は離職率を公表しない。ディップは人的資本開示として「離職率 19.9%(目標 10%)」を有報に自ら記載している。目標値より大幅に悪い数字でも隠さない透明性は、長期保有を判断するうえで重要なシグナル。
→ 定性スコア「経営の誠実さ 95点」の主な根拠。次の有報で改善傾向を確認するのが継続保有の条件。
リスク開示 有報 事業リスクより
「AIによる自社サービスの代替リスク」を会社自身が有報に記載している
AI・機械学習の普及によって求人ポータルへの広告掲載モデルそのものが陳腐化するリスクを、他の誰でもなく会社自身が有報のリスク項目に記載している。多くの同業他社はこのリスクをほとんど開示していない。
→ 自社のビジネスモデルを脅かすリスクを正直に書ける会社は、長期保有に値すると判断した。定性スコア「リスク開示 83点」の根拠。
💰 株主還元 中計資料より
「総還元性向 65%」を中計に明記。配当+自社株買いで還元
配当性向 50% 以上に加えて、自社株買いを組み合わせた「総還元性向 65%」を中期経営計画に明示。配当だけでなく、株価水準を見ながら機動的に還元できる設計が組み込まれている。
→ 定性スコア(92点)が定量スコア(71点)を 21 点上回る主因。数字に表れない株主へのコミットメントが分厚い銘柄。
09

購入判断

Decision
著者スコアが揃った。利回りも基準を超えた。ルール通りに、買った。
それだけのことなんだけど、感情じゃなくて仕組みで動けたのが正直うれしかった。
娘がいつか投資を始めるとき、「パパはこうやって決めてたんだよ」と伝えられる記録が、ここにある。
グラフを見ながら投資判断を行う人物のイラスト
項目 判断 補足
現在の利回り 4.17%(★ 購入ゾーン) 購入基準: 利回り 4% 以上
ゾーン ★ 購入 現在ゾーン
買増優先度 含み益あり。〜 2,100 円帯で追加想定
ガチホ適格 ✓ 適格 20 年保有を前提とできる事業構造・配当方針
ポジション +13.6% ウェイト 4.6%(目標 6%)
結論
ほのたねのポートフォリオに、もう一段 積む価値がある。
本記事は、個人投資家である筆者が、自分の娘のために行っている投資判断の記録です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事中の数値は、執筆時点の有価証券報告書・決算短信・会社予想をもとに作成しており、将来の業績・配当を保証するものではありません。