2153 E・Jホールディングス株式会社 東証プライム・サービス業

DOE3.0% 累進配当 × 8 期連続増配。
公共インフラを支える国策需要で、娘の 19 年を支える土台に。

最終スコア
84.2
/ 100 点
★ 購入 ◎ 検討 △ 待機
取得ベース利回り 3.98% は◎検討ゾーン(株価 1,675 円割れで★購入入口)
🟡 官公需 約 72% のリスクを承知でガチホ
最終更新 2026.10.05
著者 ほのたね。
読了 約 15 分
訂正(2026 年 10 月 5 日)

公開時(5 月 24 日)は、この会社がリーマン・ショック後も東日本大震災後もコロナ禍も配当を下げず、減配の履歴はない、と書いていました。実際は、2010 年 5 月期に配当を 3 分の 1 減らし(分割調整後 18.75 円→12.5 円)、公共事業費が大きく削られた 2011 年 5 月期と 2012 年 5 月期は無配でした。2013 年 5 月期に復配し、その後は減らしていません。あわせて、2018〜2020 年 5 月期の配当(分割調整後。正しくは 15 円・19 円・25 円)、連続増配の数え方(2018 年 5 月期の増加は設立 10 周年の記念配当によるもので、普通配当の増配は 2019 年 5 月期から)、持株会社の設立(2008 年ではなく 2007 年 6 月)も直しました。公開前の確認が足りませんでした。本文とグラフを直しています。

その後の経過(2026 年 10 月 5 日 追記)

2026 年 7 月 14 日の決算で、2026 年 5 月期の配当は予想どおり 69 円(中間 25 円+期末 44 円)に決まり、普通配当の増配は 2019 年 5 月期から 8 期続きました。2027 年 5 月期の会社予想は 82 円ですが、うち 10 円は設立 20 周年の記念配当で、普通配当は 72 円(3 円の増配)です。配当方針(DOE 3.0% 以上を目安にした累進配当)は変わっていません。取得単価 1,735 円に対する利回りは、普通配当 72 円で 4.15%、記念配当を含めた 82 円で 4.73% です。業績は売上 465.9 億円・営業利益 46.7 億円で、営業利益は会社予想の 50 億円に届きませんでした。この記事の本文は、上の訂正の箇所を除いて、5 月に公開したときの判断の記録として残しています。

1分でわかること
  • ✓2025 年 5 月期から DOE 3.0% 累進配当を正式採用。業績連動から「下限を約束した規律」へ進化した。
  • ✓独自スコア 84.2 点で◎検討ゾーン。3 株を 1,735 円で試し買い、取得ベース利回り 3.98%。
  • ✓売上 72% が官公需。国土強靭化 20 兆円・自己資本 65.5%・実質無借金の「20 年消えない構造」。
  • △公共事業費が削られた 2011・2012 年 5 月期は無配だった。政策依存・過去の指名停止(11 億円賠償)・利益率頭打ちのリスクあり。🟡 一部注意・テーゼ維持可。

娘が大人になる 19 年後も、日本のインフラは更新され続けているはずだ。

E・Jホールディングス(2153)は、建設コンサルタント持株会社。中核子会社「エイト日本技術開発」「エイトコンサル」「東京ソイルリサーチ」が、国土交通省・自治体向けに 橋梁・道路・上下水道・砂防・河川 の設計・調査・測量を担う。売上の 約 72%(2025 年 5 月期)が公共事業で、国土強靭化実施中期計画(5 年・約 20 兆円)の追い風を受けている。

2025 年 5 月期から DOE3.0% 以上を目安にした累進配当を正式に採用。2011・2012 年 5 月期の無配を経て、普通配当は 2019 年 5 月期から毎期増えていて、「業績連動の増配」から「下限を約束した累進配当」へ一段進化した。取得ベース利回り 3.98% は★購入ライン(4.0%)にあと一歩、◎検討ゾーンとして 3 株だけ静かに買った銘柄を、有報精読でなぜ「20 年後も潰れない」と判断したのか。その記録を残しておく。

橋や道路など公共インフラを設計・点検するイラスト。建設コンサルタントの仕事をイメージ
00

公共需 72%、景気でも止まらない需要

Company Profile
著者最初は「建設コンサル?地味すぎる」と思った。
でも有報を 1 ページずつめくっていくと、印象が変わった。橋・道路・水道・砂防——どれも止められない需要だ。
派手な物語はない。けれど、20 年後も間違いなく仕事が続く会社の数字を、淡々と確認した。
何をしている会社か
建設コンサルタント持株会社。中核子会社「エイト日本技術開発」「エイトコンサル」「東京ソイルリサーチ」が、国土交通省・自治体向けに インフラ設計・調査・測量 を担う。橋梁・道路・上下水道・砂防・河川・防災まで対象は広い。

官公需は売上の 約 72%(直近 2025 年 5 月期)。有報リスク欄では「85% 程度」と記述。残り 28% は東京ソイルリサーチ買収以降に伸ばしてきた民間・海外(タイ等東南アジア)・脱炭素関連の調査受託。
会社の基本情報
証券コード 2153(東証プライム)
業種 サービス業(建設コンサル)
持株会社の設立 2007 年 6 月(エイトコンサルタントと日本技術開発の株式移転)
決算期 5 月期(年 2 回配当)
主力事業 公共インフラ設計・調査
成長領域 脱炭素・GX・海外
2 つの収益柱
🌉 公共インフラ調査・設計 国土交通省・自治体からのインフラ設計・調査・測量受託。売上の 約 72%(直近 2025 年 5 月期)が官公需を占める「国が施主」の事業領域で、国土強靭化実施中期計画(5 年・約 20 兆円)の予算が当面の追い風になる。
🌱 脱炭素・GX・海外領域 東京ソイルリサーチ買収で民間比率を 27% まで引き上げ、TCFD 賛同・SBT 認定を取得。再生可能エネルギー関連の計画策定や東南アジア(タイ等)での海外案件など、公共一本足脱却に向けた多角化が進む。
国土交通省・自治体・建設コンサルタント・施工会社の関係を示す図解イラスト
🔍 構造リスク診断 — ガチホ前に確認すべき 4 つの問い
収益の持続性 🟢 国土強靭化 5 年・約 20 兆円が継続。受注高は過去最高更新中
競合・代替圧力 🟡 日本工営・建設技研インターナショナル等との指名競争・価格圧力
配当の支払い余力 🟢 自己資本 65.5%・現預金 214.59 億・有利子負債 73.6 億(東京ソイル買収で増)・2011・2012 年 5 月期は無配
経営の資本配分 🟢 DOE3.0% 累進配当を正式採用・8 期連続増配中
🟢 全グリーン(累進配当型):累進方針通り増配継続・財務余力あり。下落時こそ買い増しの好機。確信を持ってガチホ。 🟡 イエロー混在(累進配当型):増配ペースの鈍化や配当性向の一時的上昇など、累進維持の負担が増えるサイン。配当方針と業績推移を半期ごとに再確認。「下限維持での増配ストップ」も累進方針の範囲内としてここに含む。 🔴 レッド出現(累進配当型):累進方針の撤回・想定を超える連続減配(2 期以上)・営業赤字・大型減損など、累進の前提が崩れる事象。投資テーゼの根拠を一から見直す。
01

定性 93 が定量 71 を引き上げて◎検討 84.2

Score Summary
著者定量 71・定性 93。私は、この差にこの銘柄の特徴が出ていると思う。
定量スコアだけを見ると、利回り 3% 台で連続増配年数も中程度の「平凡な高配当株」。
でも有報を読み込むと、公共インフラの独占性・DOE 累進配当の正式宣言・自己資本 65.5%・無借金——「数字に出てない強さ」が次々に出てきた。
定性が定量を 22 点上回るこの乖離は、ガチホ前提の長期投資家ほど効いてくる種類の差だと感じている。
定量
71
財務諸表から算出した、数値ベースのスコア。
利回り 50
財務健全性 90
成長性 78
バリュエーション 65
利回り 3% 台で点数を落とすが、財務健全性と成長性は突出。バリュエーションも適正圏。
定性
93
有価証券報告書を精読し、企業の本質を採点したオリジナルスコア。
事業の質 95
経営の誠実さ 92
配当方針 95
リスク開示 90
公共インフラ独占・DOE 累進配当・2019 年損害賠償も正直開示。長期投資先として高水準。
総合
84.2
定量スコアを 40%・定性スコアを 60% で加重平均した購入判断用の最終スコア。
定量スコア × 0.4 = 28.4
定性スコア × 0.6 = 55.8
合計 84.2
定性を 6 割の重みで見ている。この会社は、有報を読んでから点数が大きく上がった(定量 71・定性 93)。
配当ポリシー
DOE3.0% 以上を目安にした累進配当
2025 年 5 月期より正式採用。下限を約束した方針。
連続増配実績
普通配当で 2019 年 5 月期から 8 期連続増配へ
2025 年 5 月期までの実績は 7 期。35→43→50→55→67→69 円(2021〜2026 年 5 月期・2026 年は予想)
5 年増配率
+97%
35 円 → 69 円(2021 年 5 月期→2026 年 5 月期(予想))
02

配当 69 円・取得ベース 3.98% で試し買い 3 株

Key Metrics
著者EJHD は 1,735 円 × 3 株、3 月末に一括で買った。正直、買った瞬間の感情はほとんどない。事務的に淡々と約定した。
背景にあったのは、私のポートフォリオから「建設セクター」が抜けていたこと。サービス・機械・食品・情報通信は埋まっているのに、建設だけがゼロだった。そこに公共インフラ調査の独占企業が、最高評価で目の前に現れた。「選んだ」というより「選ばれた」感覚に近かったと思う。
派手な物語はない。自己資本 65.5%・実質無借金・現預金 214.59 億という財務鉄壁と、国土強靭化 20 兆円という国策需要を見て、「20 年消えない構造」だと思えたから、娘のポートフォリオに加えた。
取得単価ベースの利回りは 3.86%(実績)/ 3.98%(来期予想)。ほのたね。の★購入ライン(4.0%)には一歩届かない水準だったので、◎検討ゾーンの試し買い 3 株に留めた。
本線★購入は利回り 4.0% 以上が条件。中間値の利回り 4.5%(株価 1,489 円圏)を、積極買い増しの目安にしている。
項目値補足
年間配当67 円(実績)/ 69 円(予想)2025 年 5 月期実績 67 円(中間 25+期末 42)/ 2026 年 5 月期 予想 69 円(中間 25+期末 44・2026 年 1 月発表)
取得ベース利回り3.86 % / 3.98 %67円÷1,735(2025 年 5 月期 実績)/ 69円÷1,735(2026 年 5 月期 予想)
連続増配7 期連続(普通配当)2019 年 5 月期〜2025 年 5 月期(2026 年 5 月期の予想 69 円で 8 期目)。2018 年 5 月期の増加は設立 10 周年の記念配当によるもの。2011・2012 年 5 月期は無配
配当方針DOE 3.0% 以上を目安2025 年 5 月期より正式採用の累進配当
自己資本比率65.5 %2025 年 5 月期末・東京ソイルリサーチ買収後の連結
売上高427.1 億円(実績)/ 470 億円(予想)2025 年 5 月期実績(前期 +14.8%・過去最高)/ 2026 年 5 月期 会社予想 +10.1%(4/13 3Q決算で据え置き)
営業利益44.8 億円(実績)/ 50 億円(予想)営業利益率 10.5%(中計目標 44.8 億を達成)/ 来期予想 +11.6% で過去最高更新へ
配当性向32.8 %(連結)2025 年 5 月期実績(単体は 60.3%)
取得単価(平均)1,735 円2026/03/30 一括取得(3 株・¥5,205)
保有株数3 株年間配当期待 ¥201(実績)→ ¥207(予想)
取得ベース利回り3.86 % / 3.98 %67÷1,735(実績)/ 69÷1,735(来期予想)
📈 株価サマリー(2153 E・Jホールディングス) 出典: Yahoo Finance / 2026 年 4 月時点
直近 3 年は 1,640〜2,250 円 のレンジで推移。2024 年 4 月の高値 2,257 円、2026 年 2 月の戻り高値 1,848 円。
取得単価 1,735 円(2026/03/30 一括)に対し、1,400 円 まで下落すれば配当利回りが本線 4.0% を超える計算となり、買い増しトリガー帯に入る。
※ 詳細な長期チャートは 2 巡目記事(17 年通史版・2027 年公開予定)で整備予定。
03

受注高 446 億で中期経営計画を 3 年前倒し

Financial Performance, 5y
著者5 期通して赤字なし、減益も微減止まり。
派手な成長カーブはないけど、公共予算の波と一緒にゆっくり 1.24 倍。これはこれで気持ちのいい絵だと思う。
営業利益率は 10〜12% で安定。建設コンサル業界としてはトップクラスで、人件費高騰のなか守りきっている。
2025 年 5 月期 は東京ソイルリサーチ買収で売上 +14.8% の階段が一段上がった。
売上高 5期 +24.4%(1.24倍) 売上高 営業利益
0 112 225 337 450 億円 2021/5 343億 2022/5 367億 2023/5 375億 2024/5 372億 2025/5 427億
📌 5 期間の軌跡:2021 年 5 月期 は売上 343 億・営業利益 38.6 億でスタート。コロナ禍でも減収減益にならず、国土強靭化予算と災害復興案件で堅調に推移。2025 年 5 月期 は 東京ソイルリサーチの連結化 により売上が一気に 427 億(+14.8%)へジャンプ。営業利益は人件費・原価率上昇のなか 44.8 億 を確保し、中期経営計画目標を 3 年で達成。利益率は 10〜12% で安定し、建設コンサル業界の中ではトップクラスを維持している。
🔭 2026 年 5 月期 通期会社予想(4/13 第3四半期決算で据え置き確認)

売上 470 億円(+10.1%)・営業利益 50 億円(+11.6%)・経常利益 51 億円・純利益 33.5 億円。過去最高更新の見通しを維持。

※ 事業特性の注意:受注の大半が官公需で納期がQ4(3〜5月)偏重。固定費は均等発生のため、第3四半期累計までは損失計上が通例(FY2026/5期 3Q累計 営業損失 ▲14 億)。通期予想は据え置かれており、Q4 で一気に黒字回収する事業構造。

売上 5期推移
+24.4%
343億 → 427億(5期・CAGR +5.6%)
営業利益率
10.5%
2025 年 5 月期 実績(業界平均約 8% を上回る)
5期最高営業利益
44.9億
2022 年 5 月期・2025 年 5 月期 もほぼ同水準
04

無配の 2 期を経て、DOE 3.0% の累進配当へ

Dividend Track Record, 8y
著者この会社にも、配当を止めた時期がある。リーマン・ショックのあと公共事業費が大きく削られ、2011 年 5 月期と 2012 年 5 月期は無配だった。
2013 年 5 月期に復配してからは減らしておらず、普通配当は 2019 年 5 月期から毎期増えている。
2025 年 5 月期からは DOE3.0% の累進配当を正式に採用した。無配を経験した会社が、減らさないと約束したことになる。
その約束が守られるかは、次に公共事業が絞られたときにわかると思っている。
ひび割れた土から芽が出て、コインの実がなる木に育っていくイラスト。無配の時期を経て増配を続ける E・Jホールディングスの配当のイメージ
連続増配年数(普通配当)
8
期目へ(2019〜2026 年 5 月期・2026 年は予想)
配当方針
DOE 3.0%
以上を目安にした累進配当
2025 年 5 月期より正式採用
5 期増配率
+97%
35円 → 69円(2021 年 5 月期→2026 年 5 月期(予想))
普通配当は 2019 年 5 月期から毎期増配 ✓ DOE 累進配当採用 年間配当(円・1→2 株分割遡及調整済) 2011・2012 年 5 月期は無配(グラフより前)
0 20 40 60 80 円 15円 記念2含む 2018/5 19円 記念2.5含む 2019/5 25円 2020/5 ▲ 2020/12 1→2 株分割 35円 2021/5 43円 2022/5 50円 2023/5 55円 2024/5 67円 2025/5 DOE3.0% 累進配当採用 69予 2026/5
期年間配当備考
2018 年 5 月期15 円設立 10 周年の記念配当 2 円を含む。普通配当は前の期と同じ 13 円
2019 年 5 月期19 円東証一部指定の記念配当 2.5 円を含む。普通配当の増配はこの期から
2020 年 5 月期25 円コロナ禍でも減配なし
2021 年 5 月期35 円2020 年 12 月 1→2 株分割後ベース
2022 年 5 月期43 円
2023 年 5 月期50 円
2024 年 5 月期55 円
2025 年 5 月期67 円(中間 25+期末 42)DOE3.0% 累進配当を正式採用・中間配当開始
2026 年 5 月期 予69 円(中間 25+期末 44)会社予想。普通配当で 8 期連続増配へ

※ 2018 年 5 月期〜2020 年 5 月期 の数値は 2020 年 12 月の 1→2 株分割を遡及調整した参考値(2018 年 5 月期は設立 10 周年、2019 年 5 月期は東証一部指定の記念配当を含む)。
※ 表より前の配当(分割調整後)は、2009 年 5 月期 18.75 円 → 2010 年 5 月期 12.5 円 → 2011・2012 年 5 月期 無配 → 2013 年 5 月期 4 円で復配。復配のあとは減らしていない。
※ 訂正(2026-10-05):公開時は 2018〜2020 年 5 月期を 18・22・28 円、2018 年 5 月期を連続増配の起点、グラフを「減配履歴なし」としていました。
※ 2025 年 5 月期から DOE(株主資本配当率)3.0% 以上を目安とする累進配当を正式採用。あわせて中間配当(11 月権利確定)が導入された。
※ 株主優待(QUO カード)は 2023 年 11 月末の株主への贈呈を最後に廃止(2024 年 7 月 12 日公表)。「優待廃止 → 配当強化」の流れも累進配当採用の地ならしとなった。

📜 有報から:配当方針の原文
「当社は、株主の皆様に対して長期的な安定した利益還元の継続が株主価値の増大に繋がるものと認識しており(中略)資本政策を反映する指標の一つとして親会社所有者帰属持分配当率(DOE)の指標を用い、当面の配当政策につきましては、DOE3.0%以上を目安に、累進配当を継続し、長期安定的かつ継続的な還元拡充を実施することとしております。」
(2025 年 5 月期 有価証券報告書より)
ここまで 配当・業績データ / ここから 財務の安全性・事業の質
05

国土強靭化 20 兆円が支える 20 年の需要

Business Strengths
著者建設コンサルというビジネスを、最初は「公共予算に依存した古い業界」と思っていた。
でも有報を読むと、橋梁・道路・砂防・上下水道・河川——「老朽化」と「災害対応」が止められない需要だと気づいた。
EJ アカデミーという人材育成制度や、ERP 刷新 18.5 億の投資、DOE 累進配当の規律。
「20 年後も国が施主のままで、配当が積み上がる」絵が、有報のあちこちから見えてきた。
🌉
国土強靭化 5 年・約 20 兆円——「国が施主」の安定需要
防災・減災・国土強靱化のための 5 か年加速化対策(2021〜2025)に続き、新たな実施中期計画(2026〜・約 20 兆円規模)が継続。橋梁・道路・上下水道の老朽化対応と災害復興案件で、当面の受注基盤は政策的に担保されている。
受注高 446 億・過去最高
🏦
自己資本 65.5%・現預金 214.59 億で 73.6 億の有利子負債を上回る
現預金 214.59 億円に対し有利子負債は 73.6 億円(うち多くは 2025 年 5 月期の東京ソイルリサーチ買収に伴うもの)。差し引き約 140 億円のネットキャッシュを保有しており、財務の余力は厚い。ただ、リーマン・ショックのあと公共事業費が大きく削られたときは赤字が続き、2011・2012 年 5 月期は無配になった。当時の自己資本比率は 57〜64% で、今(65.5%)より低かった。
自己資本比率 65.5%
📜
DOE3.0% 累進配当の正式採用——下限を約束した規律
2025 年 5 月期から株主資本配当率(DOE)3.0% 以上を目安にした累進配当を正式採用。業績連動の増配から、株主資本に紐づけた「減配しない」配当規律へ一段強化された。連結の配当性向は 32.8%(2025 年 5 月期)で、増配の余力は残っている。
8 期連続増配
👷
EJ アカデミーと技術者基盤——20 年後も人を再生産できる
中期経営計画目標は技術士 850 人・技術者正社員 1,600 人(2028 年)。2020 年創設の EJ アカデミーを全グループに拡大し、技術・ノウハウを組織的に継承。離職率は 4.5% から 3.9% へ改善、ERP 刷新(18.5 億円)で生産性向上にも投資している。
離職率 3.9%
06

リスク警告

Caveats
著者構造で確信できた銘柄だから、撤退ラインも先に決めておいた。
大型の指名停止・公共予算の構造的縮小・DOE 累進方針の撤回、のどれかが起きたら手放す。
「国が施主」は強みでもあり、政策依存というリスクでもある。財務が固い銘柄でも、撤退の基準は先に用意しておきたいと思っている。
⚠ この銘柄を持つ上で、見ておきたい 3 点
RISK / 01
(構造)
官公需 約 72% 依存——「国の予算」に紐づくリスク
売上の約 72%(2025 年 5 月期・有報リスク欄記述では 85% 程度)が国土交通省・自治体からの受注で、国の予算編成(毎年 12 月)に直接連動する。国土強靭化中期計画が継続している間は安泰でも、財政再建路線への転換や政権交代による予算削減が、業績の天井になる可能性は否定できない。
RISK / 02
(品質)
2019 年の損害賠償判決(約 11 億円超)
——指名停止リスクの実例
連結子会社エイト日本技術開発が廃棄物処理施設の設計瑕疵で約 11 億円超の損害賠償判決を受けた前例がある。建設コンサルは「ミスが訴訟になる業種」で、品質管理体制を強化したとはいえ、再発時には指名停止・受注減のリスクが残る。
RISK / 03
(収益性)
処遇改善・原価率上昇による
営業利益率の頭打ち
2025 年 5 月期は売上 +14.8% に対し営業利益は +3.1% にとどまった。人件費高騰と協力会社単価の見直しで原価率が上昇しており、利益率は 10% 台前半で頭打ちの可能性がある。中期経営計画目標の ROE 維持には資本配分の工夫が必要。
⚠ EJ HD 固有:減配・無配に至りうるシナリオ

DOE3.0% 累進配当を正式採用したとはいえ、以下のような事態が重なると配当方針の維持が困難になる可能性があります。

  • 公共投資の構造的縮減(深刻度:高)
    国土強靭化計画後の政策転換・財政再建路線への回帰で官公需が縮小すれば、売上 72% 依存の構造が直撃する。2011・2012 年 5 月期は、公共事業費の大幅な削減で赤字が続き、無配になった前例がある。
  • 重大な瑕疵 → 指名停止(深刻度:高)
    連結子会社 エイト日本技術開発が浸出水調整池の損傷等で約 11 億円超の損害賠償判決(2019 年確定)を受けた前例あり。再発時は受注機会が激減する。
  • M&A 失敗 → のれん減損(深刻度:中)
    のれん残高 31.78 億円。東京ソイルリサーチ等の買収が想定通り収益貢献しなければ、減損リスクが残る。
  • 季節変動による資金繰り破綻(深刻度:中)
    売上が Q4(3〜5 月)に偏重する建設コンサル特有の構造。中間期に一時的な営業赤字が発生する。

本記事のスコアと判断は 現時点の有価証券報告書を元にした分析 であり、将来の業績・配当を保証するものではありません。投資判断は最新の決算短信・適時開示を必ず確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

それでも私がガチホする理由
リスクを知った上で、「国が施主」の構造と DOE 累進を信じる。
公共依存、損害賠償の前例、利益率の頭打ち。どれも有報に書いてあるリスクで、決算のたびに確認している。それでも持っているのは、国土強靭化 20 兆円と橋梁・水道の老朽化対応が国策として数十年続くから。娘が大学を卒業する 19 年後も、日本のインフラの更新は続いていると見ている。DOE 累進配当という規律と、自己資本 65.5% の財務の厚みがあれば、多少の波は越えていけると思ってる。
ここまで 定量・リスク分析 / ここから 有報を読んで初めてわかること
07

有報精読で確信した 5 つのこと

Annual Report Insights
著者有報を 1 ページずつめくっていくと、最初は地味に見えた会社の輪郭がはっきりしていく。
「官公需 約 72%」を弱みではなく構造の強さとして読み、「DOE3.0% 累進」を額面通り信じていいかを確かめた。
下の 5 点は、そのときに自分の言葉でまとめた発見記録。
🏦 財務健全性 BS・有報より
自己資本 65.5%・現預金 214.59 億・有利子負債 73.6 億——ネット 140 億のキャッシュリッチ体質
建設コンサル業界は受注ベースで運転資金需要が大きいため、借入を抱える会社が多い。EJHD は 現預金 214.59 億・有利子負債 73.6 億(うち多くは 2025 年 5 月期の東京ソイルリサーチ買収に伴うもの)で、差し引き ネットキャッシュ約 140 億を保有。ただ、リーマン・ショックのあと公共事業費が大きく削られた時期は、2012 年 5 月期まで最終赤字が続き、2011・2012 年 5 月期は無配だった。
→ 財務のバッファが分厚いほど、経営判断に時間的余裕が生まれる。自己資本 65.5%・実質無借金なら、公共予算の波が来ても耐えられると思う。
📜 配当規律 中期経営計画・株主還元方針より
DOE3.0% 累進配当——「業績連動増配」から「下限を約束した規律」へ
中期経営計画「E・J-Plan2027」と 2025 年 5 月期決算短信で DOE(株主資本配当率)3.0% 以上を目安にした累進配当 を正式採用。業績悪化時でも株主資本が積み上がる限り配当下限が維持される設計で、業績連動の増配方針から「下限を約束した累進配当」へ一段進化した。あわせて中間配当(11 月権利確定)も導入され、年 2 回配当へ。
→ 定性スコア「配当方針 95 点」の主な根拠。「下限を会社が約束する」配当方針は、長く持つ側としては、いちばんありがたい設計だと思う。
⚠ リスク開示 有報 事業リスクより
2019 年の損害賠償判決 11 億円超を有報で正直に開示
連結子会社エイト日本技術開発が廃棄物処理施設の設計瑕疵で 約 11 億円超の損害賠償判決 を受けた事案を、有報の偶発債務・訴訟事項として明記している。「会社にとって不都合な事実を書ける会社」は、長期投資先として信頼に値する。品質管理体制を強化して再発防止に取り組んでいる旨も同時に開示。
→ 定性スコア「リスク開示 90 点」の主な根拠。自社にとって不都合な事実を書ける会社は、娘に 19 年信じてもらえる可能性が高い。
🌉 事業の質 中期経営計画・受注高より
中期経営計画目標を 3 年前倒し達成・受注高 446 億(過去最高)
中期経営計画「E・J-Plan2027」の 2028 年 5 月期目標(売上 385 億・営業利益 44.8 億)を、2025 年 5 月期で売上 427 億・営業利益 44.8 億と前倒し達成。受注高 446.5 億は過去最高で、国土強靭化中期計画の継続と東京ソイルリサーチの連結化が寄与した。中期経営計画を超過するペースで成長基盤が積み上がっている。
→ 定性スコア「事業の質 95 点」の主な根拠。中期経営計画達成に余裕があると、株主還元(DOE 累進配当)の継続にも余裕が生まれる。
💰 財務 2025/6-7 公募増資より
公募増資 約 31 億円調達——東京ソイル買収後の財務基盤再強化
2025 年 6-7 月に公募増資+第三者割当増資で 約 31 億円を調達。東京ソイルリサーチ買収(約 66 億円)で有利子負債が 22 億 → 75 億へ急増したのを、増資による自己資本充当で相殺し、有利子負債 73.6 億・自己資本比率 65.5% という水準に落ち着いた。「買収で借金が増えたが、増資で財務基盤を再強化済み」——攻めの買収と守りの増資をワンセットで実施する財務規律が読み取れる。
→ 株主希薄化はあるものの、累進配当(DOE3.0%)を維持しながら M&A 成長を継続する財務規律の表れ。長期投資家にとっては「規律ある成長」の証拠と読める。
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◎検討・ガチホ適格、構造で確信した 3 株

Decision
著者この銘柄は、数字より構造を信じて買った。
3 株 @ 1,735 円——取得単価ベース利回りは 3.86%(実績)/ 3.98%(来期予想)。★購入ライン(4.0%)にはあと一歩、なので今回は◎検討ゾーンの試し買い 3 株だけ。
長期投資の前提では、買い増しタイミングも数字に従う。利回り 4.5%(株価 1,489 円圏)を積極買い増しの目安、利回り 4.0%(株価 1,675 円圏)を本線★購入の入口に置いている。
項目判断補足
取得ベース利回り 3.86% / 3.98%(◎ 検討ゾーン) 67円÷1,735(2025 年 5 月期 実績)/ 69円÷1,735(2026 年 5 月期 予想)
ゾーン ◎ 検討 スコア 84.2(65 点超)/ 取得ベース利回り 3.98% で★購入条件(4.0% 以上)を未充足
買増優先度 中 株価 1,489 円圏(利回り 4.5%)で積極買い増し / 1,675 円圏(利回り 4.0%)で本線★購入入口
ガチホ適格 ✓ 適格(コア建設柱) DOE3.0% 累進配当と自己資本 65.5% を維持する限り
継続保有 3 株ガチホ継続 2026/03/30 一括取得 @¥1,735
再評価トリガー DOE 累進の撤回 or 大型指名停止 or 公共予算の構造的縮小 半期ごとに決算で配当方針の維持と受注高を確認

※ その後の経過(2026 年 10 月 5 日 追記):2026 年 5 月期の配当は 69 円で確定しました。2027 年 5 月期の会社予想は 82 円(普通配当 72 円+設立 20 周年の記念配当 10 円)で、取得単価 1,735 円に対する利回りは普通配当で 4.15%、記念配当込みで 4.73% です。

結論
国が施主の安定需要と DOE 累進配当が、娘の 19 年を支える「公共インフラの柱」になる。
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よくある質問

FAQ
E・Jホールディングス(2153)の配当金はいつもらえますか?

E・Jホールディングスの決算は 5 月期 です。2025 年 5 月期より 中間配当(11 月権利確定) が導入され、年 2 回配当となりました。期末配当は 5 月末権利確定・支払いは 8 月頃 です。詳細は本記事の Section 02「基本データ」をご確認ください。

E・Jホールディングスの配当利回りはどのくらいですか?

私の取得単価 1,735 円ベースで 3.86%(2025 年 5 月期 実績 67 円)/ 3.98%(2026 年 5 月期 予想 69 円)。ほのたね。の基準では ◎検討ゾーンに位置します。本線★購入は利回り 4.0% 以上が条件のため、株価 1,675 円割れで本線入り、1,489 円圏で積極買い増しを目安にしています。

E・Jホールディングスの配当方針は累進配当ですか?

はい。2025 年 5 月期より 「株主資本配当率(DOE)3.0% 以上を目安とする累進配当」 を正式採用しています。業績が一時的に悪化しても DOE 水準を維持する限り減配しない方針で、これまでの「業績連動の増配」から「下限を約束した累進配当」へ一段進化しました。

E・Jホールディングスの連続増配は何年続いていますか?

普通配当は 2019 年 5 月期から 2026 年 5 月期まで 8 期連続増配(2018 年 5 月期の増加は設立 10 周年の記念配当によるもの)。2021 年 5 月期の 35 円から 2026 年 5 月期の 69 円まで 5 期で約 2 倍(+97%)に増えました。2027 年 5 月期の会社予想は 82 円で、うち 10 円は設立 20 周年の記念配当です(普通配当は 72 円)。なお、公共事業費が大きく削られた 2011 年 5 月期と 2012 年 5 月期は無配でした。詳細な配当推移は Section 04「配当の歴史」をご確認ください。

E・Jホールディングスは何をしている会社ですか?

建設コンサルタント持株会社で、中核子会社 「エイト日本技術開発」「エイトコンサル」「東京ソイルリサーチ」 が、国土交通省・自治体向けに 橋梁・道路・上下水道・砂防・河川の設計・調査・測量 を担っています。売上の約 72%(2025 年 5 月期)が公共事業(東京ソイル買収で民間 27% に拡大)で、国土強靭化実施中期計画(5 年・約 20 兆円)の追い風を受けています。

📝
Note
8期連続増配の無名株を、静かに買った日の話

なぜ最高評価なのに気持ちが静かだったのか。買ったときのことは、noteに書きました。

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本記事は、個人投資家である筆者が、自分の娘のために行っている投資判断の記録です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事中の数値は、執筆時点の有価証券報告書・決算短信・会社予想をもとに作成しており、将来の業績・配当を保証するものではありません。