娘が就活する頃、世の中はどう変わっているだろう。
学情を調べようと思ったきっかけは、利回りじゃない。「新卒就活」というニーズが、少子化が進んでも消えないビジネスかどうか、自分の頭で考えてみたかったから。企業が毎年「人を採る」限り、プラットフォームへの需要は続く。自己資本比率 91% という異次元の財務健全性を見たとき、この会社は「まず潰れない」という確信が持てた。
コロナ禍で一度だけ減配した。それは正直に言う。でも翌年、すぐ回復して、そこから 5 年連続増配が続いている。財務の厚みが、判断の根拠だ。
00
会社概要
Company Profile何をしている会社か
新卒就活情報サービス「あさがくナビ」と 20 代転職特化サービス「Re就活」を運営する就職・転職情報プラットフォーム。求職者は無料で利用し、採用企業が掲載料を支払うビジネスモデル。
イベント事業(合同企業説明会・転職フェア)も展開し、オンライン求人広告とリアルの採用イベントを組み合わせた収益構造を持つ。
イベント事業(合同企業説明会・転職フェア)も展開し、オンライン求人広告とリアルの採用イベントを組み合わせた収益構造を持つ。
会社の基本情報
証券コード
2301(東証プライム)
業種
サービス業(HR テック)
設立
1990 年
決算期
10 月期(年 1 回)
主力サービス
あさがくナビ(新卒)
成長事業
Re就活(20代転職)
2 つの収益柱
🎓 新卒採用領域 「あさがくナビ」による新卒向け就活情報提供。採用企業の掲載料が収益の中心。景気に左右されるが、日本企業の新卒一括採用慣行が続く限り安定したニーズが存在する。
🔄 中途・若手採用領域 「Re就活」は第二新卒・既卒・20代転職に特化した転職ナビ。20代前半の若手採用ニーズは景気問わず高水準。合同説明会・転職フェアとの相乗効果で収益を最大化。
🔄 中途・若手採用領域 「Re就活」は第二新卒・既卒・20代転職に特化した転職ナビ。20代前半の若手採用ニーズは景気問わず高水準。合同説明会・転職フェアとの相乗効果で収益を最大化。
🔍 構造リスク診断 — ガチホ前に確認すべき 4 つの問い
収益の持続性
🟢
採用ニーズは景気変動後も回復。5 年連続増収
競合・代替圧力
🟡
マイナビ・リクナビ・Indeed との競争。差別化は継続必要
FCF・配当安全性
🟢
FCF 14.28 億 > 配当総額 約 10.4 億。自己資本 91%
経営の資本配分
🟡
コロナ禍で一度減配。累進配当ではなく業績連動型
🟢
全グリーン:下落時こそ買い増しの好機。確信を持ってガチホ。
🟡
イエロー混在:保有継続。FCF と配当方針を半期ごとに再確認する。
🔴
レッド出現:減配・FCF マイナスなど。投資テーゼの根拠を一から見直す。
01
スコアサマリー
Score Summary
定量
68
財務諸表から算出した、数値ベースのスコア。
財務健全性は群を抜く。成長性・バリュエーションはミッドレンジ。
定性
85
有価証券報告書を精読し、企業の本質を採点したオリジナルスコア。
少子化・競合・コロナ実績を正直に開示。リスク開示の質は高い。
総合
78.2
定量スコアを 40%・定性スコアを 60% で加重平均した購入判断用の最終スコア。
数字で買うのではなく、"数字 × 物語" で買う。定性を 6 割重視するのが、ほのたね。流。
02
基本データ
Key Metrics| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 年間配当 | 75 円 | FY2026/10 期 会社予想 |
| 配当利回り | 4.63 % | 株価 1,619 円換算 |
| 連続増配 | 5 期連続 | FY2022〜FY2026予(回復後) |
| 自己資本比率 | 91.21 % | FY2025/10 期末 |
| PER | 8.76 倍 | 割安圏・成長期待は低め |
| 売上高 | 110.2 億円 | FY2025/10 期(実績) |
| 営業利益 | 23.3 億円 | 営業利益率 21.1% |
| 取得単価(平均) | 1,676 円 | 2025/04 購入 |
| 保有株数 | 10 株 | ジュニア NISA 口座 |
| 取得ベース利回り | 4.47 % | 75 ÷ 1,676 |
03
業績の推移
Financial Performance, 5y
売上高 5年 CAGR +15.5%
売上高
営業利益
📌 5 年間の軌跡:FY2021(コロナ回復期)は売上 62 億・営業利益 4.2 億でスタート。その後 5 年で売上 1.78 倍・営業利益 5.5 倍に成長。特に FY2023 以降は採用ニーズの旺盛な回復で急拡大。利益率は 6.8% → 21.1% へと大幅改善し、スケールメリットが現れ始めている。
売上 5年 CAGR
+15.5%
62億 → 110億(5年)
営業利益率
21.1%
FY2021の 6.8% から大幅改善
自己資本比率
91.2%
無借金経営に近い財務の厚み
04
配当の歴史
Dividend Track Record, 8yコロナ後の連続増配
5
期継続(FY2022〜FY2026予)
コロナ禍の実績
30 円
FY2020/10 期 一時減配
翌期 37 円に即回復 → 増配継続
5 年増配率
+103%
37円 → 75円(FY2021→FY2026予)
FY2021 以降 5 期連続増配 ✓
年間配当(円)
FY2020 のみ減配(30 円)→ 翌年即回復
| 期 | 年間配当 | 備考 |
|---|---|---|
| FY2019/10 | 37 円 | コロナ前の直近水準 |
| FY2020/10 | 30 円 | ⚠ コロナ禍で一時減配 |
| FY2021/10 | 37 円 | 翌期に即回復 |
| FY2022/10 | 45 円 | 業績回復に連動して増配 |
| FY2023/10 | 55 円 | |
| FY2024/10 | 65 円 | |
| FY2025/10 | 70 円 | 過去最高配当 |
| FY2026/10 予 | 75 円 | 会社予想。5 期連続増配継続 |
※ FY2020 の減配を除き、長期的な増配トレンドを維持。
ここまで 配当・業績データ / ここから 財務の安全性・事業の質
05
配当を支える「お金の流れ」
Free Cash Flow(FCF), 5y
FCF(フリーキャッシュフロー)とは?
「本業で稼いだお金(営業 CF)」から「設備投資に使ったお金(投資 CF)」を引いた残り。
FCF がプラスの会社は、配当・借金返済・新事業投資を自力で賄える。HR メディア事業は設備投資が少ないため、FCF 率が高くなりやすい。
「本業で稼いだお金(営業 CF)」から「設備投資に使ったお金(投資 CF)」を引いた残り。
FCF がプラスの会社は、配当・借金返済・新事業投資を自力で賄える。HR メディア事業は設備投資が少ないため、FCF 率が高くなりやすい。
全 5 期 FCF 黒字 ✓
本業で稼いだお金(営業 CF)
設備・システムへの投資額
自由に使えるお金(FCF)
📌 5 年連続 FCF 黒字。設備投資が少ない HR メディア事業の特性が数字に表れている。FY2025 の FCF 14.28 億円は配当総額(約 10.4 億円)を 37% 上回る。自己資本比率 91% と合わせて、「配当を外部資金に頼っていない」を二重に確認できた。
06
事業の強み
Business Strengths🎓
あさがくナビ——新卒採用市場の確立されたプレゼンス
新卒就活情報サービスとして約 30 年の運営実績。マイナビ・リクナビに次ぐ第 3 位クラスのブランド認知。採用企業にとって「外せない掲載先」になっている媒体は、価格交渉力が高い。
業歴 30 年以上
🔄
Re就活——20代転職特化という独自ニッチ
「第二新卒・既卒・20代」に絞った転職サービスは競合が少ない。大手転職サイトが全年齢を対象にする中、若手採用に特化することでターゲット外を排除し、求人企業の費用対効果を高めている。
競合少数ニッチ
🏦
自己資本比率 91%——「潰れない」という最大の強み
無借金経営に近い財務構造は、景気悪化・コロナ級のショックが来ても配当を守れる余力を意味する。FY2020 のコロナ禍でも配当 30 円を維持できたのは、この財務基盤があったから。
自己資本比率 91.2%
📈
業績連動型の増配姿勢——5 期連続で実績
コロナ回復後の FY2021 から毎期増配を継続。FCF が配当総額を上回る構造を維持しながら増配しており、「稼ぎながら還元する」サイクルが確立されている。配当性向も健全な水準。
FCF > 配当総額
07
リスク警告
Caveats⚠ この銘柄を持つ上で、目をつぶってはいけない 3 点
RISK / 01
(構造)
(構造)
少子化による新卒採用市場の長期縮小
学生人口の減少は新卒採用市場の量的縮小につながる。採用単価上昇で短期は補えても、10〜20 年スパンでは市場全体が縮む可能性を否定できない。Re就活(20代転職)との二本柱がどこまで補完できるかが鍵。
RISK / 02
(配当)
(配当)
コロナ禍に減配した実績あり
(累進配当方針ではない)
(累進配当方針ではない)
ディップ(2379)が EPS 19 円でも配当を維持したのに対し、学情は FY2020 に 37→30 円へ減配した。「業績連動型増配」は好況期には強いが、景気後退時に再度減配するリスクが内包されている。
RISK / 03
(競合)
(競合)
マイナビ・リクナビ・Indeed との
差別化維持が継続課題
差別化維持が継続課題
大手 2 社とのブランド格差は大きく、採用企業の「まずマイナビ・リクナビに出す」習慣が続く限り、学情は補完的な位置づけに留まる。加えて Indeed 等の総合型プラットフォームのシェア拡大も脅威。
ここまで 定量・リスク分析 / ここから 有報を読んで初めてわかること
08
有報精読で見つけたこと
Annual Report Insights
財務健全性
BS・有報より
自己資本比率 91.21% は「HR メディア業界の異次元水準」
同業他社(マイナビ等は非上場だが、ディップ・エン・ジャパン等)と比較しても、91% という自己資本比率は際立って高い。借金がほぼないため、景気悪化局面でも配当・事業投資の判断を「外圧なし」で下せる。この厚みが FY2020 コロナ禍の減配最小化(37→30 円)につながった。
→ 財務のバッファが分厚いほど、経営判断に時間的余裕が生まれる。「まず潰れない」という安心感が長期ガチホの基盤。
収益構造
セグメント情報より
新卒採用 × 中途採用の二本柱構造が景気耐性を高める
有報のセグメント情報を読むと、新卒採用(あさがくナビ)と中途採用(Re就活・転職フェア)が補完関係にあることがわかる。景気が悪い時は新卒採用を絞る企業が増えるが、既卒・第二新卒の転職ニーズは逆に膨らむ。この逆相関が、収益の振れ幅を抑える仕組みになっている。
→ 「新卒しかやってない会社」より景気耐性が高い。FY2020 のコロナ禍でも完全に収益が止まらなかった理由の一つ。
リスク開示
有報 事業リスクより
少子化リスクと競合リスクを会社自身が明記。隠さない姿勢
有報のリスク欄に「学生人口の減少による新卒採用市場の縮小リスク」と「大手競合他社との競争激化」を自ら記載している。ポジティブな IRに終始せず、ネガティブな要素を正直に開示する会社は、長期投資先として信頼に値する。
→ 定性スコア「リスク開示 90 点」の主な根拠。自社にとって不都合な事実を書ける会社は、娘に20年信じてもらえる可能性が高い。
バリュエーション
業績データより
PER 8.76 倍の意味——「安いのか、それとも成長が見込まれていないのか」
現在の PER 8.76 倍は市場平均の約半分。これは「割安」とも言えるが、「市場が高成長を期待していない」とも読める。HR メディアは景気連動型で、少子化というトレンドも逆風。この低評価を「割安と見るか、適正評価と見るか」で投資判断が分かれる。私は「配当利回り 4.6% を割安として拾う」と判断した。
→ 定量スコアのバリュエーション項目(58 点)が低い理由。数字の見方次第で判断が真逆になる、正直に向き合うべき論点。
09
購入判断
Decision| 項目 | 判断 | 補足 |
|---|---|---|
| 現在の利回り | 4.63%(★ 購入ゾーン) | 購入基準: 利回り 4% 以上 |
| ゾーン | ★ 購入 | スコア 78.2 / 75 点超で購入基準クリア |
| 買増優先度 | 中 | 1,600 円割れで追加を検討。20年ルールで判断 |
| ガチホ適格 | ✓ 適格(条件付き) | FCF > 配当総額、自己資本 91% を維持する限り |
| 再評価トリガー | 再減配 or FCF 悪化 | 半期ごとに決算で FCF 配当性向を確認 |
| 取得ベース利回り | 4.47% | 75 円 ÷ 1,676 円(取得単価) |
