7931 未来工業株式会社 東証スタンダード・化学(電設資材)

「減配は大罪」と書いた自分が、
減配銘柄を持ち続けている話。

最終スコア
78.8
/ 100 点
★ 購入 ◎ 検討 △ 待機
取得ベース利回り 4.47%(145 円実績)→ 3.08%(100 円来期予想)= △待機ゾーン。保有継続・新規買増 停止。選定失敗の記録として公開
🔴 業績連動ゆえの大幅減配・選定失敗
最終更新 2026.06.01
著者 ほのたね。
読了 約 15 分
1分でわかること
  • 「他社と同じモノはつくらない」哲学に惚れて 9 株を購入。取得平均 ¥3,245、当時の利回り 4.64%、独自スコア 78.8 点。
  • 配当方針は累進ではなく業績連動型(配当性向 50% 目安/DOE 3% の高い方)。増配の継続は約束されていなかった。
  • 2026 年 3 月期 145 円(▲5 円)、2027 年 3 月期予想 100 円(▲45 円・▲31%)の減配。「減配は大罪」と書いた自分の選定失敗。
  • それでも特許 3,309 件・離職率 1.9%・自己資本 79.2% の構造は毀損なし。9 株は売らず、新規買い増しもしない中間スタンス。

投資ブログを始めるとき、自分の中で決めたルールがありました。「減配は大罪」

でも、そのルールを書いた自分が、減配を発表した銘柄を 9 株持っています。未来工業(7931)。電線管・電設資材のニッチ王者で、「他社と同じモノはつくらない」哲学で知られる会社です。

2026 年 4 月 23 日、未来工業は 2026 年 3 月期 ▲5 円減配、2027 年 3 月期予想 ▲45 円(▲31%)の大幅減配 を発表しました。

この記事は、未来工業を 選定失敗の記録として公開するものです。何を見落としていたか、それでも持ち続ける理由、そして 19 年保有という長いスパンの中で、この失敗をどう位置づけ直すか。正直に書いていきます。

電気工事現場で電線管・配管部品を扱う作業員のイラスト。未来工業の主力製品をイメージ
00

会社概要

Company Profile
著者「ゆとり経営」というキーワードが気になった。
年休 140 日、残業禁止、それでも黒字を出し続けて配当も払い続けている。
——でも、振り返ると、ここには楽観があった。コロナ禍でも配当を維持し、増配を続けてきた会社が、そう簡単に減らすだろうか。今期 5 円の減配予想は出ていたけれど、ずっと増配してきた会社だから、大丈夫だと信じたかった。
「過去に守ってきた」を、いつのまにか「これからも守る」と読み替えていた——その楽観的な観測が、選定失敗の入り口だったと思う。
何をしている会社か
電気設備工事に使う電線管・スイッチボックス・配管部品などの電設資材を製造・販売するメーカー。建物の壁・天井裏に隠れる「電気配線の容器」を作っている。

主力は独自開発の電線管「ミラレックス」と樹脂製スイッチボックス類。電気工事業者・建設会社が顧客で、ニッチ製品で圧倒的シェアを持つ。製品は数千点規模、特許・意匠を多数保有。
会社の基本情報
証券コード 7931(東証スタンダード)
業種 化学(電設資材メーカー)
設立 1965 年(岐阜県)
決算期 3 月期(年 1 回)
主力製品 ミラレックス(電線管)
特徴 「ゆとり経営」(年休140日)
2 つの収益エンジン
🔧 電設資材事業 電線管・スイッチボックス・配管部品など、建物の電気配線に必要な部品を一貫して製造・販売。住宅・オフィス・工場・病院などあらゆる建物が対象で、新築だけでなくリフォーム需要も取り込む。
💡 ニッチ製品開発力 「ちょっと改良してすぐ売る」を社風とする独自開発体制。社員提案制度で改良・新製品が次々生まれ、特許・意匠の数で価格競争を回避する。同業他社が真似しにくいニッチ多品種少量生産で利益率を維持。
住宅・オフィス・工場の建設で電線管が使われる様子を示す図解イラスト。未来工業のニッチ独占をイメージ
🔍 構造リスク診断 — ガチホ前に確認すべき 4 つの問い
収益の持続性 🟢 建物が建つ限り需要継続。特許 3,309 件・離職率 1.9% の構造強さは維持
競合・代替圧力 🟢 パナソニック電工等とのニッチ住み分け。独自製品で高シェア
配当の支払い余力 🟢 自己資本 79.2%・実質無借金・現預金 226 億円。支払い能力は十分
配当方針の規律 🔴 業績連動型・累進保証なし。
150→145→100円(▲31%)の減配通告。
過去の増配実績を将来も続くと楽観したのが選定失敗の核心。
🟢 全グリーン:下落時こそ買い増しの好機。確信を持ってガチホ。 🟡 イエロー混在:保有継続。配当方針と業績を年 1 回再確認する。 🔴 レッド出現:減配・営業赤字など。投資テーゼの根拠を一から見直す。
01

スコアサマリー

Score Summary
著者購入時のスコアは定量 62 / 定性 90、最終 78.8 点。定性が定量を 28 点も上回る大きな乖離だった。
当時は「実態過小評価」と解釈して買った。けれど振り返ると、この乖離自体が 業績連動配当への警告サインだった可能性が高い。
定量モデルは過去の低配当期(2015〜2019年頃)の連続増配年数の短さを正直に減点していた。私はそれを「実態とは違う」と上書きしてしまった。
スコアの違和感を哲学への共感が上書きしてしまう構造——これは銘柄選定基準(003)にフィードバックすべき重要な学び。
定量
62
財務諸表から算出した、数値ベースのスコア。
利回り 68
財務健全性 88
成長性 50
バリュエーション 42
財務健全性は最高水準。連続増配ではないため利回り点・成長性点はやや控えめ。
定性
90
有価証券報告書を精読し、企業の本質を採点したオリジナルスコア。
事業の質 92
経営の誠実さ 95
配当方針 85
リスク開示 88
ニッチ独占・社員重視の経営を高評価。配当方針も購入時は高く採点したが、業績連動型を「累進並み」と過大評価したのが選定失敗の核心。
総合
78.8
定量スコアを 40%・定性スコアを 60% で加重平均した購入判断用の最終スコア。
定量スコア × 0.4 = 24.8
定性スコア × 0.6 = 54.0
合計 78.8
今回いちばんの学びは、シンプルだ。業績連動型の高配当は危険——利益が落ちれば、配当もそのまま落ちる。好況時の 3 倍増配に惚れたが、それは裏返せば、不況時にはきっちり減らす方針でもあった。次に高配当株を選ぶときは、まず「累進配当か、業績連動か」を最初に見る。
配当ポリシー
配当性向 50% 目安(業績連動型)
業績連動型ゆえ累進保証なし。過去実績への楽観が構造を覆い隠した
直近の減配
150→145→100 円(▲31%)
2026/04/23 発表:来期予想 100円・大幅減配
3 倍増配の反動
▲31%
2024 年の 3 倍増配(50→150円)から 2 年で来期100円へ
02

基本データ

Key Metrics
著者未来工業は 4 日間・2 段階で 9 株まで積み上げた。取得平均 ¥3,245、当時のコスト利回り 4.62%(150 円ベース)。
正直に書くと、最初はちゃんと警戒していた。1 月にアマノを買ったとき、未来工業は「減配予想が出ている」という理由で見送り、「¥2,600 まで下がったら買う」とアラートを仕掛けていた
ところが 2 ヶ月後、株価は ¥2,600 まで下がらないうちに、私は ¥3,415 で 3 株を買ってしまった。有報を読み直して「他社と同じモノはつくらない」哲学に惚れ直し、自分で決めた ¥2,600 という規律を、待てずに飛び越えた。その 4 日後、¥3,160 でさらに 6 株。「やっぱり間違ってなかった」という静かな愛着で、厚みを増した。
——振り返ると、「減配予想」という警戒サインは最初から出ていた。それを、過去の増配実績への楽観が覆い隠した。待機価格の規律も、減配の警戒も、「この会社なら大丈夫」という楽観で上書きしてしまった——これが選定失敗の構造だと思う。
項目補足
年間配当145 円(2026年3月期実績)/ 100 円(2027年3月期予想・▲45 円・▲31%2026/04/23 発表:実績 145円(前期150円から ▲5円減配)、来期予想 100円(さらに大幅減配・業績連動ゆえの引き下げ)
配当方針配当性向 50% 目安(業績連動型)もともと累進保証のない業績連動型。その構造を、過去の増配実績への楽観が覆い隠したのが選定失敗の核心
取得単価(平均)3,245 円2026年2月 3株 @¥3,415 + 2026年3月 6株 @¥3,160(2段階取得)
取得ベース利回り4.47 %(実績)/ 3.08 %(来期予想)145円÷3,245 = 4.47%(★購入ゾーン)/ 100円÷3,245 = 3.08%(△待機ゾーン)。減配で取得時から利回りが目減りした構造を受け入れて保有継続
自己資本比率79.2 %実質無借金・現預金 226億円(総資産34%)。構造強さは維持
特許保有数3,309 件「他社と同じモノはつくらない」哲学の結晶。構造強さは維持
離職率1.9 %業界平均の1/10以下・平均勤続23年9ヶ月・年間休日135日。文化は健在
営業利益(2026/3)68.9 億円前期比 ▲2.4%・会社予想62.8億から上振れ着地
配当性向(実績)50.06 %2026年3月期実績ベース。来期予想100円は次期EPS未開示のため算定不可
保有株数9 株取得総額 ¥29,205・年間配当期待 ¥1,305(145円ベース)→ ¥900(100円予想ベース・▲30%)
📈 株価チャート(7931 未来工業) 出典: 有報掲載 年間高値・安値の月次補間(近似)/直近2点(2026/04・05)は実績終値・Yahoo!ファイナンス
月足は 2016/04〜2026/05(122 ヶ月)/週足は 2023/04〜直近 3 年(156 週)
03

業績の推移

Financial Performance, 5y
著者2024年3月期の営業利益 74.8 億円は、2023年3月期から +80% という大きな数字。
建設需要の回復と価格転嫁の両方が効いた、本業の実力を見せ付けた期だと感じた。
2025年3月期は微減になったけど、売上は 451 億で過去最高を更新してる。
「渋いけど強い」というのが、5 年分の数字を並べたときの率直な印象。
売上高 5年 CAGR +5.7% 売上高 営業利益
0 100 200 300 400 500 億円 2021/3 361億 2022/3 369億 2023/3 396億 2024/3 441億 2025/3 451億
📌 5 年間の軌跡:2021年3月期(コロナ禍直後)の売上 361 億からスタートし、5 年で 1.25 倍の 451 億へ着実に成長(CAGR +5.7%)。利益面では 2021〜2023年3月期まで営業利益 40 億前後で横ばいだったが、2024年3月期に営業利益 74.8 億(+80% 増益)と急拡大。建設需要の回復と価格転嫁が同時に効いた結果。2025年3月期は反動で 70.7 億に微減したものの、利益率 15.7% は依然として過去最高水準を維持。「渋いが力強い」典型的なニッチ独占型の業績推移。
売上 5年 CAGR
+5.7%
361億 → 451億(5年)
営業利益率
15.7%
2025年3月期(2024年3月期 ピーク 17.0%)
自己資本比率
79.2%
5 期で 77.9→79.2% と改善
04

3 倍増配 → 5 円減配 → 31% 大幅減配の配当史

Dividend Track Record, 12y
著者2024年3月期の配当 50 円 → 150 円という 3 倍増は、率直に「攻めたな」と思った。業績連動型を有報に明記してる会社だから、最高益を出したらきっちり還元する——その姿勢が見えた。
でも、業績連動は、悪い時にはきっちり減らす方針でもある。2026年3月期 145円(▲5円)、2027年3月期予想 100円(▲45円・▲31%)。3 倍増配からたった 2 年で、約 1/1.5 まで縮む可能性が示された。
連続増配ではないと知っていたつもりだったが、「過去 10 年減配ゼロ」という事実が、私の中で「これからも減配しない」という幻想に変換されていた。これも選定失敗の構造。
コインが積み重なっていくイラスト。2024年3月期の 3 倍増配を含む未来工業の配当成長イメージ
過去最高配当
150
円(2024・2025年3月期)
2027年3月期予想
100
円(▲45 円・▲31%)
2026/04/23 発表・業績連動で大幅減配
3 倍増配の反動
▲33%
2024年150円 → 2027年予想100円
2024 年の 3 倍増配 → 2026 年▲5円・2027 年予想▲45円減配 年間配当(円・単体) 2026/04/23 発表で業績連動ゆえの減配が現実化
0 40 80 120 160 32 2018/3 40 2019/3 40 2020/3 コロナ禍も 維持 40 2021/3 50 2022/3 50 2023/3 150 2024/3 最高益連動 3 倍増 150 2025/3 145 2026/3 100 2027予 業績連動 ▲31%減
年間配当(単体)備考
2016年3月期32 円低水準で安定
2017年3月期32 円
2018年3月期32 円
2019年3月期40 円増配(+25%)
2020年3月期40 円⚠ コロナ禍でも維持
2021年3月期40 円配当性向 37.6%(単体EPS基準)
2022年3月期50 円増配(+25%)配当性向 46.0%
2023年3月期50 円配当性向 40.7%
2024年3月期150 円★ 最高益連動・3 倍増配(配当性向 57.6%)
2025年3月期150 円維持(配当性向 59.8%)
2026年3月期 実績145 円(▲5円)⚠ 減配・営業利益 68.9億円・配当性向 50.06%(2026/04/23 発表)
2027年3月期 予想100 円(▲45円・▲31%)🔴 大幅減配・通期業績予想は中東地政学リスクで非開示

※ 過去 10 年は減配ゼロだったが、2026 年 3 月期で 11 年ぶりの減配・2027 年 3 月期予想でさらに大幅減配が確定。3 倍増配(2024年)からたった 2 年で 1/1.5 まで縮む可能性。
※ 著者は「過去 10 年減配ゼロ」を「これからも減配しない」と無意識に拡張解釈していた。過去の実績は、未来を保証しない。業績連動型は好況時に大きく増配する一方、不況時には減る——その当たり前を、過去実績への楽観が覆い隠した選定失敗。

ここまで 配当・業績データ / ここから 財務の安全性・事業の質
05

事業の強み

Business Strengths
著者この会社の本当の強みは、有報の数字より社風にあると思った。
「ほうれんそう禁止・社員の自由を最大化」というルールが、改良提案や独自製品を生み続ける土壌になってる。
電線管 1 本の世界で、特許や意匠を何百も持ってるのは異常値。
ニッチ × 多品種 × 知的財産=価格決定力。それを長年積み上げてきた会社って、簡単には真似できない。
🔧
電線管・スイッチボックスの圧倒的ニッチシェア
ミラレックス(電線管)をはじめ、樹脂製スイッチボックス・配管部品など多品種で高シェアを持つ。電気工事業者にとって「未来工業のあの製品でないと納まりが悪い」という指名買いが多く、価格交渉力が高い。
数千点 × 高シェア
💡
「ちょっと改良してすぐ売る」社員提案文化
社員提案を即採用し、現場の改良案を新製品に反映する独特の社風。特許・意匠を多数保有し、競合は同等品を真似しにくい。「ゆとり経営」の自由度が、結果としてアイデアの量産につながっている。
特許・意匠 多数
🏦
自己資本比率 79%——製造業としては異次元の財務
無借金経営に近い水準。製造業は設備投資負担が重く 50% 前後でも健全とされるなか、79% は際立って高い。2020年3月期のコロナ禍でも配当 40 円を維持できたのは、この財務基盤があったから。
自己資本比率 79.2%
📈
業績連動型でも、結果として 10 年減配ゼロ
累進配当を約束していないが、リーマン後・震災・コロナ禍でも一度も減配せず 10 年で 32→150 円(+369%)。業績の波がそのまま配当に反映される構造でも、ニッチ独占の収益基盤が下支えしている。
10 年減配ゼロ
06

選定失敗で見えた 3 つのリスク

Caveats from a Failure Record
著者購入時、私はリスク欄に「建設市場・業績連動・社風継承」の 3 つを書いた。配当方針が業績連動だということも明記していた。
でも、それを書いた自分が、減配通告で動揺している。
「書いている」と「腹落ちしている」は違うことを、減配で初めて理解した。本セクションは、購入後に見えた本当のリスク 3 点と、購入時に書いたが見落としていた 1 点を、正直に整理する。
⚠ 選定失敗で見えた 3 つのリスク(深刻度:高 → 中)
RISK / 01
(配当規律)
業績連動型は累進保証なし
(150→145→100円 ▲31% の現実)
有報で「業績連動型」を明示している以上、利益が落ち込めば配当も縮む。2026年3月期 145円(▲5円減配)に続き、2027年3月期予想 100円(▲45円・▲31%)が確定。「累進配当」ではなく「配当性向 50% 目安」が公式方針。累進を約束していないこの構造を、過去の増配実績への楽観が覆い隠していたのが、私の選定失敗の核心。3 倍増配で買った銘柄が、2 年後に約 1/1.5 まで縮む可能性を示した。
RISK / 02
(市場)
日本の建設需要に強く依存する事業構造
売上の大半が国内建設市場由来。新築・リフォーム・公共工事のいずれも長期では人口減・少子高齢化の逆風を受ける。ニッチ独占は守れても、市場全体の縮小は避けられない。海外展開の進捗と、リフォーム・改修需要の取り込みが鍵。2027年3月期の業績予想は中東地政学リスクで非開示となっており、構造的不透明感が増している。
RISK / 03
(判断プロセス)
哲学への共感がスコアの違和感を上書きする構造
定量スコア 62 点は「実態過小評価」と解釈して買った。定性が定量を 28 点も上回るこの大乖離は 業績連動配当への警告サインだった可能性が高い。「他社と同じモノはつくらない」「離職率 1.9%」「年休 135 日」という哲学・文化への共鳴が、配当方針の業績連動性を「気にしないでよい」と再解釈させた。これは銘柄選定基準(003)にフィードバックすべき構造的バイアス。
⚠ 未来工業(7931)固有の追加減配・無配シナリオ
  • シナリオ A(深刻度:中):2027年3月期の業績下振れで、100円予想がさらに減配(80円・70円水準へ)。配当性向 50% 目安を維持しつつ、利益減少を吸収する形での更なる減配リスク。
  • シナリオ B(深刻度:中):中東地政学リスクで原材料・物流コストがさらに上昇し、利益率(10.5%→10%割れ)が構造的に低下。配当性向50%目安なら配当も下押し。
  • シナリオ C(深刻度:低):「ゆとり経営」継承リスク。創業者の哲学を引き継いだ経営陣の交代で、文化が薄れる可能性。製品開発力・特許更新ペースが鈍化すれば、ニッチ独占の堀が浅くなる。
  • シナリオ D(深刻度:低):住宅着工数の構造的減少(人口動態)が想定より早く進む。非住宅(商業・工場・公共)への展開拡大が間に合わなければ、長期売上ベースが侵食される。

本記事のスコアと判断は 現時点の有価証券報告書・決算短信を元にした分析 であり、将来の業績・配当を保証するものではありません。投資判断は最新の決算短信・適時開示を必ず確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

それでも私が売らない理由
配当方針は崩れた。でも会社の構造強さは消えていない。
業績連動配当の現実は痛い。それでも 9 株を売らずに持ち続けるのは、自己資本比率 79%・実質無借金・特許 3,309 件・離職率 1.9% という構造強さは減配通告でも何ら毀損していないから。配当が一時的に縮んでも、特許で守られたニッチ独占の収益基盤と、ホワイト企業文化に支えられた製品開発力は、20 年スパンで企業を支える土台になり得る。

ただし 新規買い増しは停止。取得ベース利回り 3.08%(来期予想ベース)は、ほのたね. の買い増し基準(利回り 3.5% 以上)を下回る。減配があっても売らない・でも追加投入もしない、という中間スタンスを保つ。
ここまで 定量・リスク分析 / ここから 有報を読んで初めてわかること
07

有報精読で見つけたこと

Annual Report Insights
著者未来工業の有報は、他社と比べて「会社の哲学」がにじみ出てる印象を受けた。
経営理念の中で「社員を幸せにすること」を掲げてるのは珍しい。
下の 4 点は、その読書メモの中から「投資判断に効く」と感じた部分を抜き出したもの。
🤝 経営理念 経営方針より
「社員を幸せにすること」が経営理念として有報に明記されている
年休 140 日・残業禁止・社員提案優位を、有報の経営方針に堂々と書いている会社は珍しい。それでいて自己資本比率 79%・営業利益率 15.7% を維持しているのは、社員の働きやすさが製品開発力・現場改善に直結しているからだと読んでいる。減配は確かに痛手だが、特許 3,309 件・離職率 1.9% を生むこの社風そのものは、財務数値の上では今も毀損していない。
→ 短期的な ROE 競争よりも、文化と財務の両立を選ぶ経営。20 年スパンで娘に持たせるなら、こういう「腰の据わった会社」が向いている。
📜 知的財産 事業の強みより
特許・意匠の多数保有がニッチ独占の源泉
有報のリスク項目・事業の強みを読むと、ミラレックス等の独自製品が特許・意匠で守られていることが繰り返し言及される。価格競争に巻き込まれにくい「真似されない構造」がニッチ製品ごとに作られており、これが営業利益率 15% 超を支えている。同業他社が後追いしようとしても、製品ごとに知財の壁を越える必要がある。
→ 「商品が見えない部品でも、知財で守られていれば価格決定力を持てる」を体現した会社。ブランドではなく権利が堀になる、典型的な工業株。
📈 業績ドライバ 事業の状況より
2024年3月期の利益倍増は建設需要回復+価格転嫁成功の合算
2024年3月期は売上 +11.5%(395.7→440.9 億)に対して営業利益 +80.3%(41.5→74.8 億)。有報の事業環境分析を読むと、半導体・データセンター関連の電気工事需要回復に加え、原材料価格上昇に対する値上げ交渉が成功した影響が大きい。「数量・価格・コストの三拍子」が一度に揃った稀有な期。
→ 同じ条件は再現しないが、価格転嫁能力(=ブランド力)の存在を確認できた意義は大きい。2026年3月期以降の利益水準を保守的に見るなら 50 億前後と置くのが妥当。
💴 配当方針 利益配分方針より
「配当性向 50% または DOE 3% の高い方」——過去実績への楽観が覆い隠した、選定失敗の核心
有報の利益配分方針を精読すると、配当方針は「配当性向 50% または DOE 3% の高い方」だった。DOE は配当の下限を設定するが、累進(増え続けること)を保証するわけではない。業績悪化時には DOE 3% 水準まで下がりうる設計だ。好業績期(2024〜2025年)は配当性向 50% が DOE 3% を上回り 150 円を維持したが、業績が落ちれば DOE ベースに引き下がる。2026 年 3 月期実績 145 円(中間 50 円 + 期末 95 円)、2027 年 3 月期会社予想 100 円(▲45 円・▲31%)——この 100 円こそが DOE 3% の水準そのものだった。この「下限はあっても累進ではない」構造を、過去の増配実績への楽観が見えなくしていた。
→ 取得ベース利回りは実績ベース 4.47%・来期予想ベース 3.08%。「買い増し基準(4.0%)」を来期予想は大きく下回る。「DOE が下限を設定する」だけで、累進(増配の継続)は保証されない。その構造を直視せず、過去の増配実績で『大丈夫』と楽観したことが選定失敗の核心。
08

△待機・条件付き保有・新規買増 停止

Decision — A Failure Record
著者未来工業は 4 日間で 9 株まで積み上げた銘柄だ。¥3,415 で 3 株、¥3,160 で 6 株。同じ「他社と同じモノはつくらない」哲学への共感のまま、直線的に厚みを増した。
1 月にアマノを買った時、未来工業は「減配予想を出している」という理由で見送った。それが 2 ヶ月後、有報を読み直したら惚れ込んでしまった。「減配は大罪」と書いた自分が、減配予想銘柄を 9 株まで積み上げてしまった。
そして 4 月 23 日、その懸念が現実化した。150→145→100円(▲31%)の減配通告。私は 9 株を売っていない。売る理由が「期待していた増配トレンドの終わり」だけなら、特許 3,309 件・離職率 1.9%・自己資本 79% の構造強さは何ら毀損していないから。
でも、新規買い増しはしない。これは「ルールへの忠実さ」と「物語への愛着」のバランスを取った中間スタンスだ。
ひとつ、今回の失敗で考えを足した。高配当株はそもそも、資金を効率よく回すための器でもある。だから「売らない」と決め込むのではなく、構造が崩れない限りは保有、もし株価が回復して含み益が出たら、その時は利益確定してより利回りの高い銘柄に資金を移すのも選択肢——という条件付きの保有に置き直した。塩漬けでも狼狽売りでもない、第三の出口を持っておく。19 年というスパンで、この判断が正しかったか、半年ごとに記録を更新していく。
項目判断補足
取得ベース利回り 4.47%(実績)/ 3.08%(来期予想) 145÷3,245(2026年3月期実績)/ 100÷3,245(2027年3月期予想・大幅減配後で △待機ゾーンへ)
ゾーン △ 待機 スコア 78.8 / 来期予想 100円 ÷ 取得平均 = 3.08% は △待機ゾーン基準(3.0% 未満)に近接
新規買増 停止 取得ベース来期予想利回り 3.08% は買い増し基準(3.5% 以上)を下回る
保有方針 ✓ 9 株 条件付き保有 構造強さ(特許3,309件・離職率1.9%・自己資本79%)が崩れない限り保有
利益確定の選択肢 株価が回復して含み益が出れば利確も可 高配当株は資金を効率よく回す器。含み益が出たら、より利回りの高い銘柄へ資金を移すのも合理的
再評価トリガー 2027/3 期 100円 がさらに減配 or 営業赤字 or 社風変質 半期ごとに業績進捗を確認・100円維持できなければ投資テーゼ再考
結論(選定失敗の記録)
配当方針は崩れた。でも構造強さは消えていない。
買わない。構造が崩れない限り保有、含み益が出れば利確も——条件付きで検証する銘柄に格下げ。
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よくある質問

FAQ
未来工業(7931)の配当金はいつもらえますか?

未来工業の決算は 3 月期 で、年 2 回(中間・9 月末と期末・3 月末)の配当です。中間配当の支払いは 12 月頃、期末配当の支払いは 6 月頃 となります。

未来工業の配当方針は?

未来工業の配当方針は 「配当性向 50% 目安(DOE 3% の高い方)」 の業績連動型で、累進(増配の継続)は約束していません。著者はこの構造を分かっていながら、過去 10 年の増配実績から「そう簡単には減配しないだろう」と楽観してしまいました。過去の実績を将来の保証と読み替えたことが選定失敗の核心で、本記事の中心テーマです。

未来工業の配当推移は?

2024年3月期に 50円→150円(3 倍増配)、2025年3月期は 150円維持。2026年3月期は 145円(▲5円減配)、2027年3月期の会社予想は 100円(▲45円・▲31%の大幅減配)。累進ではなく業績連動型で、利益が落ちれば配当も縮む——その構造を、過去の増配実績への楽観が覆い隠していた銘柄です。

未来工業の配当利回りはどのくらいですか?

著者の取得平均 ¥3,245 ベースでは、2026年3月期実績 145円で 4.47%(★購入ゾーン)、しかし 2027年3月期予想 100円では 3.08%(△待機ゾーン)。来期予想を反映すると、本来は買い増し対象から外れる水準です。

未来工業の特徴は?「残業ゼロ」で有名ですか?

未来工業は電気設備配管の ニッチトップ企業 で、取得済特許 3,309 件・離職率 1.9%(業界平均の 1/10)・18 期連続 CF 黒字 という骨太の財務を持ちます。「他社と同じモノはつくらない」「有給完全消化義務」「残業禁止」など独自の社風で知られています。

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本記事は、個人投資家である筆者が、自分の娘のために行っている投資判断の記録です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事中の数値は、執筆時点の有価証券報告書・決算短信・会社予想をもとに作成しており、将来の業績・配当を保証するものではありません。